本項は、猟銃の事故を防止するため、一定の技能を有する者でなければ、猟銃の所持許可を受けることができないものとすることを趣旨としています。
今回は、銃刀法第5条の2第3項についてです。
【銃刀法第5条の2第3項】抜粋
都道府県公安委員会は、第四条第一項第一号の規定による猟銃の所持の許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合でなければ、許可をしてはならない。
一 現に許可済猟銃(所持しようとする種類の猟銃であつて、第四条第一項第一号の規定による許可を受けたものをいう。以下この号及び次号において同じ。)を所持している者(当該許可済猟銃に係る第五条の五第二項の技能講習修了証明書(同号及び第三号において「技能講習修了証明書」という。)の交付を受け、その交付を受けた日から起算して三年を経過していない者又は当該許可済猟銃に係る射撃競技で政令で定めるものに参加する選手若しくはその候補者として適当であるとして政令で定める者から推薦された者に限る。)
二 震災、風水害、火災その他の災害により許可済猟銃を亡失し、又は許可済猟銃が滅失した 者で、第八条第一項第四号の規定により当該許可済猟銃の所持の許可が効力を失つた日(当該災害に起因するやむを得ない事情により、第四条第一項第一号の規定による猟銃の所持の許可の申請をすることができなかつた者にあつては、当該事情がやんだ日)から起算して一月を経過しないもの(当該許可済猟銃に係る技能講習修了証明書の交付を受け、その交付を受けた日から起算して三年を経過していない者に限る。)
三 海外旅行、災害その他の政令で定めるやむを得ない事情により、第七条の三第二項の規定による許可の更新を受けることができなかつた者で、当該事情がやんだ日から起算して一月を経過しないもの(当該許可を受けて所持していた猟銃に係る技能講習修了証明書の交付を受け、その交付を受けた日から起算して三年を経過していない者に限る。)
四 所持しようとする種類の猟銃に係る第五条の四第二項の合格証明書の交付を受けている者でその交付を受けた日から起算して一年を経過しないもの
五 所持しようとする種類の猟銃に係る第九条の五第五項の教習修了証明書の交付を受けている者でその交付を受けた日から起算して一年を経過しないもの
六 所持しようとする種類の猟銃に係る猟銃等射撃指導員
➤銃刀法第5条の2第3項第1号
すでに許可を受けて猟銃を所持している人。
猟銃の取扱いについては一応の経験者であるので、都道府県公安委員会が行う技能講習を修了しているか、それに準じる技能を有すると認められる者であれば足り、それ以上に技能検定や射撃教習を受けることまでは不要とする趣旨です。
➤銃刀法第5条の2第3項第2号
災害は本人の責めに帰することができない事情であることから、こうした事情により許可済猟銃の許可が失効した人が、新たに猟銃の許可を受けようとする場合の基準については、現に許可済猟銃を所持している場合に準じた取扱いにするという趣旨です。
ここで注意しなければならないのは、本人の責めに帰することができない災害に限られるということです。
例えば、本人の故意・過失による火災はこれに当たりません。
➤銃刀法第5条の2第3項第3号
これは、やむを得ない事情によって所持許可の更新を受けることができず、許可が失効してしまった人についても、その事情がやんだ日から1か月以内であれば、現に所持している場合に準じて技能検定と射撃教習を免除する(技能講習は必要)という一種の救済措置です。
「やむを得ない事情」は以下のとおりです。
・ 海外旅行をしていたこと。
・ 地震、積雪、洪水等により交通が困難となっていたこと。
・ 病気にかかり、又は負傷していたこと。
・ 法令の規定により身体の自由を拘束されていたこと。
・ 社会の慣習上又は業務の遂行上やむを得ない緊急の用務が生じていたこと。
なお、この適用を受ける場合には、やむを得ない事情を明らかにする書類を申請書に添付することとされています。
銃刀法第5条の2第3項第4号、5号
4号が、技能検定の合格証明書の交付を受けて1年を経過していない人。
5号が、射撃教習の修了証明書の交付を受けて1年を経過していない人。
銃刀法第5条の2第3項第6号
猟銃等射撃指導員は、猟銃の取扱いについて習熟していることが制度的に担保されていますので、適用除外とされています。